品目紹介

金時草

出荷時期:周年出荷(露地栽培とハウス栽培あり)

加賀野菜“金時草(きんじそう)”の茎は円柱形でよく分枝し、紫褐色。葉は長楕円形で先が尖る。葉の表は緑、裏は赤紫色で、柔軟・粘液質である。葉と若い茎を食用にし、夏場の野菜として独特の風味があり、ゆでるとぬめり(粘り)がでる。

生育適温は20〜25度で、冬季には地上部が枯死する。耐暑性がすこぶる強く、夏季には良く繁茂する。半日日陰で温度差が大きいと葉の裏の赤紫色がきれいに出る。土壌の適応性は広いが乾燥には弱い。
作型は普通栽培で、定植は4月下旬から5月上旬に行い、収穫は定植後50〜60日目ごろから随時収穫し、7〜9本を1把として出荷する。

金時草(キンジソウ)の名の由来であるが、これは葉の裏面の色が「金時芋(キントキイモ)」に似た美しい赤紫色であることから「金時草」と表記されるようになり、これをキンジソウと呼ぶようになったようである。

歴史と現状

金時草は、和名はスイゼンジナ(水前寺菜)といい、キク科ギヌラ属の多年草で、熱帯アジアが原産である。

日本へは18世紀に中国から渡来したものであるが、九州の熊本市で古くから栽培されていたのでこの名(水前寺菜)がついたとされている。このスイゼンジナが江戸時代に、北国である石川県で栽培されていた記録(農業開志 著者農学者 村松標左衛門 1775年頃)がある。しかし、商品としての栽培が広がり始めたのは昭和初年頃のことで、以来70年間、全国的に多く栽培されているのは、金沢だけである。

金時草は、主に山間地の花園地区で栽培されているが、近年は砂丘地でのハウス栽培も行われるようになった。この花園地区への初めての金時草の導入は、地代町の木びき職人 中田龍次郎氏が、大正時代に県内のどこかから持ち帰り、一株だけ畑に植えたのが始まりである。息子の中田義久氏が、隣村から金沢近江町の八百屋に嫁いだ人からの薦めで、昭和初期から料理屋向けとして栽培が始まった。
中田氏の出荷によって村の人も関心を持ち、次第に金時草の栽培が広まっていった。しかし、そのころは自家用野菜として作られ、昭和37年頃から地元金沢市場へ出荷されるようになり現在も続いている。

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